よくある質問
相続放棄は撤回できる?
民法919条1項では、「相続の承認及び放棄は、第915条第1項の範囲内でも、撤回することができない」とされています。
3ヶ月の間でも、一度なされた相続の承認や相続放棄の撤回はできないとされているのです。
相続放棄は相続人の資格を確定させるものです。
ときには、次順位の相続人に権利が移り、次順位の相続人が行動します。
相続放棄の撤回を認めると、他の共同相続人や相続債権者の立場を不安定にしてしまいます。
法律関係も安定しなくなってしまいます。
そのため、撤回は禁止されています。
ここには、限定承認の撤回も含まれます。限定承認も撤回はできません。
裁判例
最判昭和37年5月29日。
原判決は、本件贈与による被上告人の農地所有権取得はその実質を視れば、一旦なした被上告人の相続放棄が撤回されて遺産分割によつて右権利取得を生じた場合と少しも異らないとして、農地法三条一項但書七号の規定の趣旨に準じ、これに県知事の許可を要せずと判示しているが、民法九一九条一項の規定に照し、一度受理された相続放棄の撤回は許されないことに鑑み、原審の右判断は首肯し難く、又原判決は、本件家事調停による農地の所有権移転は農地法三条一項但書五号所定の民事調停法による農事調停によつた場合とその実質を異にしないから、本件権利移転には県知事の許可を必要としないとした第一審判決の理由説示をも是認引用しているが、家事調停と農事調停とは制度を異にし、家事調停による農地の権利移転を農事調停による場合と同視することはできないから、右原審判断も支持できない。
よつて、原判決が前示の如き判断を前提としたため、本件農地の所有権移転について県知事の許可の有無を認定判示することなく直ちにこれを有効と判断している点に審理不尽理由不備の違法あるものというべく、論旨は結局理由があるから、原判決は破棄を免れない。
相続放棄受理前の撤回
相続放棄は、家庭裁判所に申述し、意見照会等をした後に受理されます。
申述受理の審判によって相続放棄が成立します。
そこまでは相続放棄は成立していませんので、受理審判前は、申述の取下げ(撤回)が可能です。
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