よくある質問
Q.相続放棄の効果は?
相続放棄の効果は、相続から外れることになり、プラスの財産もマイナスの財産も承継しない点にあります。
相続放棄の絶対効
相続放棄をすると、その相続に関しては、初めから相続人の地位を取得しなかったとみなされます。
積極財産も消極財産も初めから承継しなかったことになります。
その相続放棄者だけではなく、その子、孫等の直系卑属にも相続はいきません。
この相続放棄には、絶対効があるといわれ、登記等も必要がない強い効果です。
生前に不動産売買があるようなケースでも、被相続人が負っていた登記移転義務を承継しません。
最判昭和42年1月20日。
民法が承認、放棄をなすべき期間(同法九一五条)を定めたのは、相続人に権利義務を無条件に承継することを強制しないこととして、相続人の利益を保護しようとしたものであり、同条所定期間内に家庭裁判所に放棄の申述をすると(同法九三八条)、相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。
他の相続人による登記が可能になる
相続財産に不動産がある場合、法律で決められた相続分以外の登記をする場合には、全相続人の承諾が必要です。
通常は、遺産分割協議書を作ります。
この際、相続人中の一部の者が相続放棄をしているときで、他の相続人の名義に登記を移転する場合、家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書の添付が必要です。
これにより相続放棄が証明され、その相続人の持ち分がないことがわかるからです。
相続開始後、一部の相続人の相続放棄前に、共同相続人や相続債権者などが共同相続人全員のために相続登記をすることがあります。
その後に一部の相続人の相続放棄が受理された場合、登記の修正は、更正の登記によるべきとされています。
また、共同相続人への登記がなされた後に相続人全員が相続放棄をしたような場合には、相続登記を抹消し、改めて第2順位の相続人への相続登記をするのが相当と言われます。
相続放棄の審査
このような相続放棄の審理ですが、実際の審査としては、ほぼ書面での照会により、細かく調査されることはほとんどありません。
明らかに違法な場合はともかく、書面からそのような事情が認められない場合には、受理される傾向にあります。
そのため、家裁で受理された相続放棄が後から地方裁判所で無効とされることもあるのです。
仙台高決平成8年12月4日
家庭裁判所が相続放棄の申述を不受理とした場合の不服申立ての方法としては、高等裁判所への即時抗告だけが認められているにすぎず、その不受理の効果に比べて、救済方法が必ずしも十分であるとは言えないから、家庭裁判所において、その申述が熟慮期間内のものであるか否かを判断する場合には、その要件の欠缺が明らかであるときに、これを却下すべきであるとしても、その欠缺が明らかと言えないようなときには、その申述を受理すべきものと解するのが相当である。
相続放棄の不服申立てを希望の方は、ぜひご相談ください。