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よくある質問

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Q.特別縁故者の財産分与申立は?

 

相続人が誰もいないことが確定した場合、被相続人と特別の縁故があった人は、財産が残っていれば分与を受けられる可能性があります。

それが特別縁故者の制度です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

特別縁故者と相当性の要件

特別縁故者は、残っていた財産をすべて受け取れるわけではありません。全部または一部という記載があり、一定額のみ認められることも多いです。

また、そもそも、家庭裁判所が、特別縁故者に対して、相続財産を分与するには、分与することが相当であることが必要とされています。

相当性の要件が必要です。

何をもって相当だとするのかについては、諸要素で決めることになるのですが、特別縁故の具体的な内容・程度、相続財産の種類・金額・状況等が考慮されることになるでしょう。

 

特別縁故者の財産分与申立の期限

特別縁故者による分与申立ては、法律上、相続人捜索公告満了後3か月以内になすべきとされています。

ただ、実際には、そもそも相続財産管理人の選任など相続人不存在手続が始まらずに、長期間経過しているケースもあります。

あまりに、長期間、経過したことを理由に、特別縁故者による財産分与申立を否定した裁判例もありますが、法律で相続人不存在手続以外に期限が決められていないことから、認定した裁判例もあります。

熊本家審昭和47年10月27日。

「民法958条の3による申立には被相続人の死後相当期間内になすべしとの制限はないのであるから被相続人の死後50年余を経てなされた本件申立を云々することはできない。」

 

特別縁故者の申立

特別縁故者として、相続財産の分与を受けたい者は、民法958条の相続人捜索公告の期間満了後3か月以内に家庭裁判所に対して、相続財産の処分を申し立てなければなりません。

相続財産管理人の選任申立てをしたからといって、この特別縁故者による財産申立をしたとはみなされず、別に申立が必要です。

3か月経過後の申立だと却下されます。

そのため、特別縁故者の財産分与申立を考えて、相続財産管理人の選任申立をした場合には、定期的に管理人と連絡を取り、現在、公告手続がどの段階なのか等をチェックしておく必要があるのです。

 

相続権主張催告の公告期間満了前の申立ては?

申立は、遅いと却下されますが、早いとどうかという問題もあります。

裁判例の中には、958条による相続権主張催告の公告期間満了前にされた分与申立てのについて、期間満了後に適法な申立てに転化するとして認めたものもあります。

大阪家審昭和40年11月25日。

民法第九五八条の三第二項は、相続財産分与請求は相続権主張催告の公告期間が満了したときを始期とし、それから三カ月までにしなければならない旨を規定するから、上記催告期間の満了前にした請求は同法にてらし形式上瑕疵ある申立といわざるをえないが、民法が新たに特別縁故者に対する相続財産分与の制度を設けた趣旨に鑑みれば、かかる申立といえども上記催告期間が満了しなお相続権を主張する者が現れない場合はその瑕疵が治癒され適法な申立に転化するものと解すべきであると思料する。そこで、本件についてこれをみるに、その請求は民法第九五八条の催告期間満了前の申立であるが、相続権を主張する者もなく期間が満了したのであるから、結局において適法な申立があつたものとして扱うべきである。

 

相続人がいるかどうか争われていた場合は?

期限がすぎると却下されるのですが、相続人が法的にいるかどうか争われている場合、その結果が出る前に、特別縁故者の申立をしなければならないとするのは酷とも考えられます。

そのような紛争性がある場合に、この点が解決するまで期間は満了しないとした裁判例もあります。

大阪高決平成9年5月6日。

特別縁故者であると主張する者が、民法九五八条所定の相続権主張催告期間内に相続人として届出た者に相続権がないと主張して、相続財産分与の申立てをした場合には、相続財産分与申立期間を以下のように解すべきである。
相続人であることの申出をした者の相続権の存否が争われ、同法律関係が未確定の状況においては、相続権主張催告期間が満了しても同法九五八条の三第二項所定の三か月の相続財産分与申立期間は進行しないものと解するのが相当である。この場合には、相続権の不存在が確定した後三か月の相続財産分与申立期間が進行すると解すべきである。その理由は次項((4)のとおりである。
(4) 相続財産分与申立てリ相続人の存在が明らかにならなかった場合に限り認容し得るものである。そうであるから、相続権があると主張する者が存在する場合には、たとえ特別縁故者が現在、上記相続権の存在を否定しているとしても、その不存在が確定する以前の段階で、特別縁故者に対し、相続財産分与の申立てを要求するのは申立人に酷である。また、相続財産分与の申立て制度の趣旨からみても、相続権の存否が確定する以前に相続財産分与の申立て手続を進行する余地はないのであって、相続権主張催告期間内に相続財産分与申立てを要求する合理的根拠がない(民法九五八条の三第一項参照)。

 

 

特別縁故者の財産分与申立管轄

この申立の管轄裁判所は、相続財産の処分に関する事件として、相続開始地の家庭裁判所の管轄となります。

実務上は、相続財産管理人との連絡の必要性が高いことから、相続財産管理人を選任した家庭裁判所に申し立てます。

 

 

 

 

 

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