事例紹介
厚木市の相続放棄事例
離婚した親の相続放棄
神奈川県厚木市にお住まいの方からの相談でした。
両親は離婚しており、子供は自分だけという家族構成でした。
母親が亡くなったと連絡を受け、相続放棄を検討しているとの事でした。
お母様は自宅で亡くなり、数日後に発見されたとのこと。
離婚後は一人暮らしをしていたようでした。
相続放棄をすべき法定相続人
法定相続人としては、両親は離婚をしており、配偶者はなし。養子縁組もなし。
子供は自分だけという家族関係です。
第一順位の相続人は、子である自分だけ。
郵便物から借金が発覚
自宅の郵便物を確認したところ、消費者金融から、過去に裁判起こされているようで、差し押さえの記録等が出てきました。
すでに判決等があり、いつでも差し押さえができる状態が続いているということになります。
消滅時効期間も過ぎておらず、数年前のものでした。
そのため、相続をした場合には、借金も引き受けることになります。
このような、裁判まで起こされているケースでは、他にも借金がある可能性が高く、複数の借金を支払えずに多重債務状態になっているということも少なくないです。
借金調査と信用情報機関
一定の財産がある場合には、そのような債務がいくらぐらいあるのかを調べるため、相続人という立場で、CIC、JICCなどの信用情報機関に照会をかけ、信用情報がどうなっているのかを確認して相続放棄を検討するケースもあります。
すべての債務が信用情報機関に登録されているわけではありませんが、大手消費者金融、クレジット会社、銀行などの債務はかなり判明します。
逆に、個人債権者など、登録されない借金は、郵便物や預貯金明細などから確認するしかなく、これはいくら調査をしてもわかりにくいです。
借金の調査をせずに相続放棄
しかし、特に大きな財産がないようなケースでは、借金の方が多いと判断し、少ない資料だけで、相続放棄を決めることもあります。
今回のケースでも、大きな財産はないと判断し、借金の方が大きい、しかも裁判所の判決までとられているということから、信用情報の調査などはせずに、相続放棄をすることで決めました。
郵便物等から、少なくとも、10社近くの債務があることが判明しており、財産がこれを上回るという事は考えにくい状態でした。
第2順位以降の相続人の相続放棄対応
自分が相続放棄をした場合には、相続権が第2順位以降の法定相続人に移ります。
子が全員放棄をした場合、次に、被相続人の親に相続権が移ります。
しかし、親も祖父母も既に他界していました。
そのため、次は、第3順位の法定相続になる兄弟姉妹への相続になります。
兄弟姉妹は存命でしたが、連絡を頻繁に取るような関係ではなく、遠方に居住していました。
このような場合、皆さんの依頼をまとめて受け、順番に相続放棄手続きをすることもあるのですが、そうではなく、自分だけが相続放棄手続きをし、後順位の相続については各自の判断に任せるという方法もあります。
今回は、密に連絡をとっていた関係ではなかったことから、そのような対応とし、自分のみ相続放棄手続きを取ることにしました。
相続債権者への連絡対応
死亡後、間もないと時期ということもあって、債権者から、被害者に対して、請求書が複数届いている状態でした。
相続放棄の申請まではそれほど時間が掛からずに進められたのですが、そのような債権対応が煩わしいということで、弁護士の方から、債権者に対して通知を出し、相続放棄予定であること、相続放棄が受理された場合には、受理証明書等を送ることを告知し、直接の請求を止めるよう連絡しました。
その後、1ヵ月程度、相続放棄は受理され、相続放棄受理証明書も取得することができました。
これらの書類を債権者に通知し手続きは終了しています。
相続放棄にかかった時間
相続放棄の申述から受理証明書の送付まで結構時間がかかりました。
申述まではスムーズにできたものの、裁判所の混み具合などで、受理証明まで1ヶ月程度かかっています。
今回のケースでは、相続放棄前や、手続き中に、単純承認にならないかどうかと色々と相談を受けました。
自宅の部屋の整理であるとか、債務の返済、未払い給料の受け取りや、保険の解約金の対応、複数の相談がありました。
状況によっては、この類の対応をしたり、財産を管理することがあるのですが、下手に受け取ってしまうと管理義務が発生してしまい、相続人がいなかったり、相続財産管理人が選ばれないと手間が増えるので、最終的にどうなりそうかを確認しながら、進める必要があります。
最後の住所地も神奈川県西部でしたので、管轄する家庭裁判所は横浜家庭裁判所小田原支部となりました。
債権者対応も専門家に任せた相続放棄をご検討中の方は、ご相談ください。